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工場増築の注意点|違法建築を避けるための重要ポイントも

日付
2025年01月30日
カテゴリ
工場・倉庫
  • 工場増築の注意点|違法建築を避けるための重要ポイントも

製造機器など設備の増設や人員が増えてくると工場内のスペースが足りず、工場の増築を検討されるかと思います。増築はコストを抑える方法の一つですが、建築基準法の確認や申請手続きを怠ると違法建築となり、思わぬトラブルに発展するリスクがあります。

本記事では増築に伴う法規制やリスク、申請の流れをわかりやすく紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

 

工場を増築(建て増し)する際の注意点

工場の増築を進める際には、既存の建物が現行の建築基準法に適合しているかを確認しましょう。

また、建て増しの増築では建物全体のバランスや耐久性に影響が及ぶため、構造的な補強が必要になるケースも。接合部の補強作業に余分なコストが発生することも考慮しなければなりません。

老朽化が進行している建物の場合、増築よりも建て替えの方がコストや安全面で合理的な場合があるため、慎重な判断が必要です。また、増築作業が工場の稼働に影響を与え、停止を余儀なくされるリスクもあるので、稼働を維持しながら進めるための対策も欠かせません。

 

建築基準法による制限をクリアするための注意点

工場を増築する際には、建築基準法など法令で定められた制限をひとつひとつクリアして進めていきます。具体的には、建ぺい率・容積率・高さ制限などが増築計画に大きく影響します。

建ぺい率は敷地面積に対する建物占有率を示し、容積率は敷地面積に対する延べ床面積の割合であり、敷地及び既存建物の面積等を確認し許容の範囲内で計画することが求められます。既存不適格建築物の場合、現行の耐震基準や法令に従って補強する必要があります。

※既存不適格建築物とは、建築時は合法でも、その後の法改正により基準に合わなくなった建物です。違法建築とは異なります。

 

違法建築を避けるためのポイント

増築を進める際には、まず既存建物が違法建築ではないか確認することが重要です。違法建築の状態で不適切な増築を行うと、後に是正費用や取り壊しといった厳しい措置が発生する可能性があります。

ただし、建築基準法第86条の7による制限緩和が適用できるケースもあるため、建築主事(自治体)または民間の確認検査機関に適切な確認申請を行い、法的リスクを事前に回避しましょう。また、将来的なトラブルを防ぐために、調査や確認を建設会社に依頼することが良いでしょう。建設当時の書類(図面や確認申請書類など)を保管しておくと、依頼時にスムーズに話を進められます。

 

工事中の生産活動への影響を最小限に抑えるための対策

 工場の増築工事中も生産活動を続けるためには、ホコリや騒音等の対策が不可欠です。工事エリアを区画し防塵カバーを取付けたり、防音壁を設置するなど、作業環境を確保する措置を徹底することで、生産活動への影響を最小限に抑えることが可能です。

また、工事車両の出入り口を製品出荷ルートと分けることで、物流効率を維持できます。さらに、工事業者とコミュニケーションを取り、スケジュール管理を徹底することで、工事による生産活動への影響を最小限に抑えられます。

 

建て増しの増築にかかるコストとリスク

工場の増築には、接合部の補強を行うほか、工事エリアの区画化や動線の確保に伴う、仮設工事が必要なため、コストが増加する可能性があります。

また、既存の作業動線の見直しが求められるため、効率的な配置を考えなおさなければなりません。ほかにも接続部分からの雨漏れや構造的なリスクもあるため、長期的なメンテナンス費用や耐久性を見据えて、最適な判断を下しましょう。

 

工場を増築する際に申請は必要?

工場の増築には、原則として建築確認申請が必要です。必要に応じて既存建物の是正を行い、建築確認で計画建物が適法であることを確認して進めます。確認申請を行わずに工事を進めたり、申請内容と異なる施工を行ったりすると違法建築となり、是正費用や罰則が課される可能性があります。

ただし、すべての工事に申請が必要なわけではなく、場合によっては不要なケースもあるため、事前に確認することが重要です。以下で申請に関する条件を見ていきます。

 

申請が必要なケース

以下に該当する場合は建築確認申請が必要です。

区分

建築確認申請が必要な条件

都市計画区域内

すべての建物

都市計画区域外

特殊建築物は床面積の合計が200㎡を超える建物

 

増築によって延べ床面積が200㎡を超える場合は、建築確認申請が必須です。

都市計画区域内では、すべての建築物が申請対象となります。

また、都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区・防火地域内の増築も申請が必要で、防火地域や準防火地域では面積に関係なく申請が求められます。

 

申請が必要ないケース

工場の増築であっても、都市計画区域外で増築面積が10㎡以内の場合、原則として建築確認申請は不要です。これは建築基準法で定められており、迅速かつ効率的に工事を進めることができるよう配慮されています。

※繰り返し増築を行うことで、建ぺい率や容積率が超過するリスクがあります

※過去に申請不要の増築を行っている場合、将来的な建て替えや増築に制限がかかる可能性があるため要注意です

 

申請手続きをスムーズに進めるための注意点

申請には提出(添付)書類がいくつかあり、書類を揃え申請するまでに時間を要します。工事の工程でのみでなく、申請から工事完了までの各工程を整理し、スケジュールをしっかりと管理しておきましょう。

また、申請を怠ると違法建築と見なされ、罰金や融資拒否、将来の増改築における制限を受けるリスクがあるため、注意が必要です。

 

まとめ

今回は、工場の増築を検討する際に気をつけるべきポイントを詳しく解説しました。増築をする際に意図せず違法建築になってしまうことを避けるためには、様々な法律や申請に注意する必要があります。建築に詳しい方がいない状態で増築計画を進めると危険なので、専門家に相談しながら進めましょう。

長野・山梨で工場の増築を検討している方は、まずはヤマウラにご相談ください。専門的な知識と豊富な経験で、安心かつスムーズに増築計画を進めるサポートをいたします。

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