建設コラムColumn
建築基準法上、「倉庫」は特殊建築物として扱われます。倉庫の用途や規模によって法的規制や確認申請、設計・施工・費用・工期が異なるため注意が必要です。この記事では実務視点での基準や手続き、注意点に加え、長期利用と防災対策までわかりやすく解説しています。
目次
倉庫は特殊建築物に該当するのか
特殊建築物に該当する建築物は、防火・避難・構造に対して厳しい基準が適用され、確認申請や設計上の配慮が必要です。倉庫も特殊建築物に該当しますが小規模倉庫は一般の建築物となります。規模や用途によって規制が厳しくなるため計画段階で早期確認することが重要です。
特殊建築物の定義と倉庫の位置づけ
特殊建築物は「建築基準法2条1項二号」に規定される建築物を指します。多くの人が利用する施設や火災時の危険性が高い用途が中心です。たとえば、学校、病院、劇場、百貨店、店舗、集会場、宿泊施設、共同住宅、工場、倉庫、自動車車庫、体育館、展示場、飲食店、下宿などが特殊建築物に含まれます。
また、用途ごとに「当該用途に供する部分の延床面積の合計」が一定の面積を超えると耐火建築物や準耐火建築物として扱われるため注意が必要です。倉庫も延床面積によって耐火建築物や準耐火建築物となります。
用途・規模で変わる該当条件
延床面積で3階以上の部分が200㎡以上で耐火建築物、1500㎡以上で準耐火建築物となり、それぞれ規制が発生します。また、危険物倉庫や冷凍冷蔵倉庫、ラック式倉庫など、用途別に個別の防火・構造・設備基準が適用されるため、用途と面積の両方を確認して設計することが重要です。
特殊建築物に該当した場合の規制
特殊建築物には、通常の建物よりも厳しい規制が課されます。具体的には、「耐火性能の確保」、「避難経路や安全性の確保」、「防火設備の設置」などが義務づけられています。
こうした規制は、単なる形式的なものではなく、火災などの緊急時に人命を守り、被害を最小限に抑えることを目的としたものです。そのため、設計段階から法令を十分に理解し、適切な対策を講じる必要があります。
建築基準法上の主な規制
「建築基準法」では、特殊建築物を中心に厳しい安全規制が定められています。たとえば、「非常口」や「階段」、「廊下幅」に対して、避難経路の確保が義務づけられており、規模によっては耐火構造の壁や床の設置、防火区画が必要となります。
さらに建物が大規模化・複合化する場合は、火災時の被害拡大を防ぐため追加の安全対策が必要です。これらは人命を守り、災害時のリスクを最小限に抑えるための重要な規制となっています。
消防法やその他関連法規
「消防法」では、「スプリンクラー」や「火災報知器」などの消防設備設置基準が定められており、危険物倉庫では保管量に応じた制限に従う必要があります。詳しくは以下の記事をご確認ください。
関連記事:危険物倉庫とは?建築基準や申請方法を解説
さらに、「労働安全衛生法」によって換気や照明、作業環境の基準が求められるため、設計段階からこれらの法規を踏まえた計画が不可欠です。法令を守ることで安全性を確保し、稼働後のトラブルや是正工事防止につながります。
倉庫建築に必要な手続きと流れ

特殊建築物に該当し、延床面積が200m²を超える倉庫には「建築確認申請」が必要です。設計段階から防火・避難・構造・設備の法規適合性を慎重に検討し、必要書類を整えて行政や指定確認検査機関へ建築確認申請をすることになります。
申請後は審査内容に応じて防火区画や消防設備、避難経路の確保など確認や是正が求められることがあるため、計画段階から建築士や確認審査機関などと連携して進めることが重要です。
建築確認申請と必要書類
建築確認申請では配置図・平面図・立面図など詳細図面に加え、断面図・構造計算書・仕様書などの提出が必要です。また、消防設備などに関して、消防署との事前協議が発生する場合があります。審査を経て確認済証を受領してから工事着工が可能となります。
設計段階での注意点
工場や倉庫などの設計では、初期段階から法規制を反映させることが重要です。特に耐火仕様や避難経路、防火区画の設定は後から修正が難しく、対応が遅れると大幅なコスト増や工期遅延につながります。そのため、計画段階から建築士など専門家のサポートを受け、法令遵守と安全性を両立させた設計を進めることが重要です。
特殊建築物の倉庫建設で押さえるべきポイント

特殊建築物として倉庫を建設する際は、安全性・耐久性に加え、将来の拡張性を見据えた設計が欠かせません。耐火性能や避難計画、防火設備など法規制に対応するため初期コストは高くなりますが、その分長期的な安心と安定した運用につながります。計画段階から専門家と連携し、将来の事業展開にも柔軟に対応できる設計を行うことが重要です。
安全性と耐久性の確保
倉庫や工場などの特殊建築物では、安全性と耐久性の確保が最重要です。地震や火災といった災害に強い構造を採用することで、人命と財産を守るとともに事業継続性を高められます。
また、長期間の使用を前提に耐久性の高い資材を選択することで、維持管理コストを抑えつつ安定した運用が可能になります。設計段階から災害対策と資材選定を意識すれば、安心して使い続けられる建物づくりにつながるでしょう。
コスト・工期への影響
特殊建築物は法的要件が多く、一般的な建物に比べて設計・施工コストが高くなる傾向があります。耐火性能や防火区画、避難経路などの規制対応が必要となり、工期にも影響を及ぼす可能性があります。しかし、設計段階で動線や設備配置を最適化し、必要な性能を満たしつつ無駄を省くことで、余計なコスト増や工期遅延を防ぎ、効率的な建設を実現できます。
将来的な用途変更や拡張を見据える
倉庫を特殊建築物として建設する際は、将来的な拡張や用途変更を見据えた設計が重要です。初期段階から柔軟性を持たせておくことで、事業の成長や生産体制の変化に対応しやすくなり、資産価値を長期的に維持できます。また、法規制は改正される可能性があるため、余地を残した設計とすることで将来の対応コストを抑え、安定した運用を実現できるでしょう。
ヤマウラが提供できるサポート
ヤマウラは地元企業として数多くの倉庫・工場建設を手掛けてきた豊富な実績を持ち、地域特性や法規制に精通しています。建築基準法や消防法に詳しい設計士と施工チームが一貫して対応することで、計画から竣工まで安心して任せられる体制を整えています。
法令対応に強い設計・施工体制
特殊建築物の倉庫建設では、建築基準法や消防法といった多様な法令を満たす設計が不可欠です。耐火性能や防火設備、避難計画などを適切に反映させることで、安全性と法令遵守を両立できます。また、複雑になりがちな建築確認申請や消防協議などの手続きも、専門知識を持つ設計・施工体制がサポートすることで、スムーズに進められ、安心して工事を進行できます。
顧客ニーズに合わせた柔軟な提案
倉庫建設では、顧客の事業内容や保管物の特性に応じた柔軟なプランニングが求められます。温度管理や防塵性能など用途に合わせた仕様を取り入れることで、効率的かつ安全な運用が可能になります。
また、コスト面と安全性の両立を意識した設計提案を行えば、無駄な投資を抑えつつ長期的に安心できる倉庫を実現できるだけでなく、顧客ごとのニーズを丁寧に反映できるでしょう。
まとめ
倉庫が特殊建築物に該当するかは規模や用途で異なります。各ケースの法規制を理解し、専門家と連携することが重要です。ヤマウラの「イーファクト」は短工期・低価格・高品質・大空間のシステム建築から高いデザイン性を求める建物まで提案しています。
長野県・山梨県で特殊建築物の倉庫建設はヤマウラへ
ヤマウラは豊富な実績と法令対応力で、安全かつ長期的に活用できる倉庫づくりをサポートしていますので、ぜひ一度ご相談ください。
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