建設コラムColumn
グローバル化が進む現代の食品業界において、食品安全管理は企業の信頼性を左右する重要な要素となっています。本記事では、特に海外進出を考える食品関連企業なら、ぜひ取得しておきたい認証「FSSC22000」の基本から取得のメリット、具体的な取得ステップまでをわかりやすく解説します。
目次
FSSC22000とは何かを理解する
食品を扱うビジネスでよく聞く「FSSC22000」とはどんなものでしょうか? 「HACCP」や「ISO22000」など、他の食品安全管理用語との違いや関係性も含めて理解しておきましょう。
国際的な認証スキーム
FSSC22000(Food Safety System Certification 22000)は、食品の安全性を確保するため、厳しい基準で整備された国際規格です。
特に、GFSI(Global Food Safety Initiative:世界食品安全イニシアチブ)の承認を受けた規格であるということは、高い信頼性の理由の一つとしてチェックしておきましょう。GFSIは、世界の大手小売業や食品メーカー等の専門家が集まり、食品安全マネジメント規格の承認等を行っている民間の機関です。
現在では、食品製造業者はもちろん、食品包装材メーカーや動物飼料製造業者など、食品関係の幅広い事業者がこの認証を取得するようになりました。日本でも、輸出や海外資本との取引を視野に入れた多くの企業が、認証取得で製品の安全性を証明しています。
ISO22000とFSSC22000
代表的な食品安全の規格として、他には2005年に国際標準化機構(ISO)によって発行されたISO22000があります。HACCPの考え方を基に作られており、FSSC22000に含まれる中心的規格ともなっています。
FSSC22000は、ISO22000に、具体的な実践内容となる業種別の衛生管理の技術仕様書と、現代的なリスク対策としてフードディフェンス(意図的な異物混入やテロ行為への対策)やトレーサビリティ確保などの追加要求事項の、2つの要素を加えた構成となっています。
ISO22000のみではGFSIの承認もないため、ISO22000を既に取得している企業でも、FSSC22000の取得によって信頼性を一層アップすることができるでしょう。
HACCPとFSSC22000
食品の安全管理に関してよく使われるHACCP(ハサップ)は、製造現場での衛生管理プロセスに焦点を当て、継続的に管理する手法を定めたものです。食品衛生法の改正に基づき、2021年6月に全て食品関連事業者に対して義務化されました。
一方、FSSC22000はより広範囲で具体的な要求事項で構成された国際規格です。上で取り上げたとおりその内容にISO22000を含んでおり、やはりHACCPの考え方を土台に持った規格といえます。
FSSC22000取得のメリット
FSSC22000の認証取得には時間とコストがかかりますが、それだけのメリットが期待できます。ここでは、認証取得がもたらす具体的な価値について見ていきましょう。
国際的な信頼性
FSSC22000の最大のメリットは、国際的に認められた「信頼の証」を得られることです。
実際、欧米の大手小売チェーンや食品メーカーの多くは、サプライヤー選定においてFSSC22000のようなGFSI承認規格の認証を必須条件としています。このような認証がなければ土俵にすら上がれないケースがあるのです。
逆に、認証を取得していれば、それだけで一定レベル以上の食品安全管理能力があると判断され、取引先からの二者監査が省略されたりすることもあります。さらに、企業のブランドイメージ向上にも寄与します。
食品安全レベルの向上
FSSC22000の要求事項に沿って食品安全マネジメントシステムを構築し運用することで、実際の製品のレベルが上がり、クレームの減少や事故防止につながることも大きなメリットです。
認証取得の際の分析によるリスクや管理の弱点が明確化、ハザード分析による各工程での重要管理点の設定等のプロセスを経ることで、食品事故のリスクは大幅に低減されます。時に大きく報道される製品回収や営業停止といった事態を避けられることは、企業経営の安定性に直結します。
また、万が一問題が発生した場合も、トレーサビリティの強化によって迅速に原因の特定と影響範囲の限定が可能になることは、経営にとって重要な利点といえるでしょう。
現場の衛生意識向上
FSSC22000の取得プロセスでは、経営トップから現場作業員まで、全従業員が食品安全に関する教育と訓練を受けることが求められます。一人ひとりが「なぜこの作業が必要なのか」「この手順を守らないとどんなリスクがあるのか」を理解することで、食品安全に対する意識向上を図ることができます。
取得後も内部監査の実施により、いつもの習慣的な作業がリスクを抱えていないかを見つめ直す機会ができます。記録の作成と保管も含めて、従業員の作業への客観的な確認を促す契機になるでしょう。
経営層も食品安全についての理解が深められ、組織として取り組む体制の構築が進むことも期待できます。
取得に必要なステップ

FSSC22000の認証取得は、一朝一夕には実現しません。準備開始から認証取得まで、場合によっては1年以上の期間を要します。ここでは、取得に向けた具体的なステップについて順を追って解説します。
「ギャップ分析」とマネジメントシステム構築
認証取得の第一歩は、プロジェクトチームの編成です。工場長、品質管理責任者など、各部門の代表者を含めて選任し、調整力と知識を持つ人材にリーダーを任せましょう。
次に実施するのが「ギャップ分析」です。これは、現状の食品安全管理体制とFSSC22000の要求事項を照らし合わせ、何が不足しているかを洗い出す作業です。高度な専門的知識が必要となるため、専門のコンサルタントを選任して行うのが一般的です。
ギャップが明確になったら、それを埋めるための具体的な計画を立て、マネジメントシステムを構築します。食品安全方針や組織図、各種手順書など、多くの文書作成作業が必要になります。認証取得のためだけでなく、現場で役立つ、実態に即した実用的な文書の作成を心がけるとよいでしょう。
設備や建物の対応
FSSC22000の業種別技術仕様書では、建物や設備に関する具体的な要求事項が定められています。
具体的には、床や壁の材質が洗浄・消毒しやすいものになっているか、排水溝が適切に設計されているか、窓やドアに防虫ネットが設置されているか、などがチェックされます。
これらのハード面の整備には、多くが実際に建築工事等を伴い、場合によっては数百万円・数千万円といった単位の投資が必要になることもあります。ぜひ認証取得について実績やノウハウのある設計・施工業者とともに取り組むことをお勧めします。
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社員教育と運用の開始
システムの運用前には、全従業員への教育訓練が欠かせません。管理職向けには内部監査の方法を、現場作業員向けには日常の作業手順を、といった形でそれぞれの立場に応じた内容で教育します。
特に重要なのは、安全管理チームのメンバーに対するトレーニングでしょう。ハザード分析の手法や重要管理点の設定方法など、食品安全管理の知識とスキルを習得する必要があります。
教育訓練が終了したら、定めたマネジメントシステムの運用を開始します。決めた手順通りに業務が行われているか、記録が適切に残されているか、等を確認して現場に定着させます。
認証機関からの審査
十分な運用期間を経て、マネジメントシステムが安定的に機能するようになったら、いよいよ認証機関による審査を受けます。FSSC22000の審査は、FSSC財団から認定を受けた認証機関のみが実施できます。
審査は2段階で実施されます。一次審査は主に文書審査で、食品安全マネジメントシステムの文書類(マニュアル、手順書、記録様式など)が要求事項を満たしているかを確認します。二次審査は、審査員が実際に工場を訪問し、システムが文書通りに運用されているかなどをチェックします。
審査をクリアすると、晴れてFSSC22000の認証書が発行され、認証マークを使用できます。
取得後の審査対応
高い信頼性のFSSC22000は、取得したら終わりというわけにはいきません。認証の有効期間は3年間ですが、その間も内部監査やマネジメントレビュー等の形で、継続的な改善が求められます。
認証取得後は毎年1回のサーベイランス審査(維持審査)を受けることが義務付けられています。1回は通知のないいわゆる「抜き打ち」の審査となっており、常に運用を徹底しておく必要があります。
3年後、認証継続の際は、更新審査を受けることになります。また、定期的にFSSC22000の規格自体の改訂もありますので、対応の準備もしておきましょう。
公的補助金をチェック
FSSC22000等の国際認証取得のために、使える公的な補助金の制度もあります。
農林水産省の「食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業」は、現在二次締め切りの募集期間となっています。(2026年4月1日まで) 活用できれば補助率は1/2、補助上限額は6億円と大きなサポートを受けられる機会となりますので、検討してみてはいかがでしょうか。
興味のある方はこちら:食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業

FSSC22000対応の食品工場の建設はオイシールドで!
今回は、食品業界での国際的な信頼性を高める認証規格「FSSC22000」の概要や取得方法について解説しました。貴社の食品工場も国際競争力をつけるため、認証取得へ第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
ヤマウラの食品専門工場ブランド「オイシールド」なら、食品工場建設にかかわる多数の実績で、立地選定からアフターフォローまで全面的にサポートしています。FSSC22000対応についてもコンサルティング・アドバイザーのご紹介などご相談をお受けしておりますので、お気軽にお問合せください。
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