建設コラムColumn
工場・倉庫の改修工事とは何か?
改修工事とは、建物が劣化や損傷した際に修復する補修や修繕工事とは異なり、一般に既存建物の機能や性能を改善したり、向上させるための工事を指します。改修工事を行うことで生産性の向上などメリットがあります。
本記事では、工場・倉庫における改修工事の注意点やポイントについて詳しく解説します。
改修工事の目的と必要性
一般に改修工事といっても様々な目的、改修方法があります。まずは、改修工事の主な目的をご案内します。
①生産効率の向上 :最新技術の導入による作業プロセスの最適化
②安全性の確保 :労働環境の改善や最新の安全基準への準拠
③エネルギー効率の向上:省エネルギー設備の導入によるコスト削減
④環境対応と法規制遵守:環境規制に適合した設備や処理方法の導入
適切なタイミングで目的に応じた改修工事を実施することで、建物の資産価値を維持するだけでなく、従業員が働きやすい環境を整えることができ、会社の成長に繋がります。
工場・倉庫での改修工事の内容
改修工事は、建物の用途に応じて工事内容が異なります。ここでは工場の改修工事を例にして、①~④の改修工事ごと、具体的にどういった内容であるかご紹介します。
①生産効率向上のための改修(生産ライン最適化)
・生産ラインの改修、自動化設備に更新
→設備更新に伴う土間改修(耐久性向上)や電気工事
・工場レイアウトの変更
②安全性確保のための改修
・防爆設備の導入、危険物倉庫の設置
・非常用電源設備の増強
・作業環境の改善(防塵・防音対策)
③エネルギー効率向上のための改修
・工場屋根への太陽光パネル設置
・高効率空調システムへの入れ替え
・断熱性能向上のための外壁・屋根の塗替え・改修
④環境配慮型への改修
・排水処理設備の高度化
・CO2排出削減に向けた設備の導入
・省エネ性能の高い設備への更新(付帯工事)
工場ではこれらの改修を通して、生産性の向上や品質の安定、従業員の安全確保、環境負荷の低減などの効果が期待できます。また、計画的な改修により建物の寿命を延ばし、長期的なコスト削減にもつながります。
工場・倉庫改修計画を立てるポイント
工場・倉庫の改修工事は新築工事とは異なり、工場の稼働状況などを考慮して計画する必要があります。計画を立てる際のポイントを説明します。
改修工事計画のスケジュール(時間)管理が重要
工場の改修工事を実施するには、綿密なスケジュール管理が不可欠です。生産への影響を最小限に抑えながら効率的に工事を進めるためのスケジュール管理のポイントを解説します。
段階的な改修計画の立案
工場全体を一度に改修するのではなく、エリアごとに分けて段階的に改修することで、生産への影響を分散させることができます。工場の生産において、生産を止められる時間や区画範囲に優先順位を付け、できるだけ生産に影響の少ないようエリアの細分化、工程を組んでもらえるよう事前に建設会社と相談する必要があります。社内だけでなく、取引先へも影響が出てしまう可能性がある為、取引先との調整も事前に必要となる場合もあります。
工場が稼働していない時間を有効活用する
工場では製造の生産活動が行われていない時間帯を有効活用することで、生産への影響を最小化できます。
・生産の閑散期を活用: 季節的な需要変動がある場合は、生産量が少ない時期に合わせて工事を計画
・計画的な休業期間の設定: 年次点検や休業期間を利用した集中工事の実施
・夜間・休日の活用: 夜間や週末、祝日などを利用して工事を集中的に実施※
※ただ、働き方改革により祝日は工事ができない業者も増えてきている状況です。夜間や週末、祝日に工事を行う場合、
費用が割増になるケースもあります。事前に建設会社へ相談した方が良いでしょう。
工事を行う前に建設会社や社内内で相談し綿密なスケジュール管理を行うことでスムーズに改修工事を進めることができ、生産の影響を最低限に抑えることができます。
生産ラインを止めない工事の実施方法
生産を継続しながら工事を進めるための具体的な方法をご案内します。
・空き工場を借りる :工事期間中、空き工場を借り生産を行う
・仮設ラインの設置 :一時的に代替する仮設ラインの構築
・既存設備の一時的移設 : 必要な設備を一時的に別の場所に移設して生産を維持
・部分的な生産調整 : 完全停止ではなく、生産量を一時的に調整しながらの工事実施
上記のように生産ラインを止めない方法はいくつかありますが、一時的に設備を移動するなど手間が掛かる為、事前に計画を立てることが重要です。また、規模の大きい工場では一部を改修したり、大型の生産機械の入れ替えで改修する事が多いにあります。その場合は簡易に間仕切りをして、稼働させる製造ラインに影響が及ばないよう動線計画や粉塵対策を十分に行う必要があります。
このように生産ラインを止めずに工場の改修工事を実施するには、建設会社など専門家との適切な協力体制が不可欠です。改修工事は建物の新築工事とは異なる法的な問題や既存設備との兼ね合いなど難しい点もある為、専門家のノウハウや経験を活用するが重要です。次項で専門家にチェックしてもらう法的規制など注意点を解説します。
工場・倉庫の改修における注意点
工場改修を実施する際には、様々な法的規制を理解し、適切に対応することが重要です。違反した場合には工事の中止・是正指示や罰則が課せられる可能性があります。ここでは、工場改修に関わる主な法的規制とその対応策について解説します。
建築基準法関連の規制チェック
新築工事のみならず、一定の規模以上の建築物を改修しようとする時にも法規制が掛かります。計画が建築基準の関連規定に適合しているか、事前に確認しておくと良いでしょう。改修内容により建築確認申請を提出する必要があります。特に古い工場などは改修工事が何度もされ、建築基準法に適合していない場合があります。このような場合、まずは既存建物が建築基準法や関係法令に適合していなければならず、事前に既存工場の状況を確認し、設計事務所や建設会社、行政に相談や協議し確認を取った上で、計画を進めましょう。
建築確認申請が必要な改修工事は許可が下りないと工事を始められません。十分に注意し、確認申請を必要としない改修工事を実施する場合も建築基準法や関係法令に適合しているかを常に確認して進めましょう。
工事中の安全管理を徹底する
工場改修工事における安全管理は、作業員と工場従業員双方の安全を確保するために最も重要な課題の一つです。
安全対策の1例をご紹介します。
〇工事範囲の区画化
工事を行う範囲について、工場従業員が立ち入らないように区画をする必要があります。コーンとバーを使った簡易的な区画から、仮間仕切りを設け完全に空間を分ける方法があります。更に区画した所に掲示物を設置し、従業員へ事前に工事区画の案内をすることでより安全対策を取ることができます。
工事範囲を区画する事に併せて、定期的な安全面でのパトロールを実施することもより安全に繋がります。工事範囲周辺を点検する事で見えなかった危険個所を発見でき、事前に対策を取ることができます。社内での監督者を任命する事も良いでしょう。
予期せぬトラブルが隠れている
改修工事では、予期しなかったトラブルも発生する可能性があります。例えば、工場のレイアウト変更に伴い壁を撤去作業中電線や配管を切ってしまい、工場の生産に影響が出てしまったといったトラブルもあるようです。事前に設計図を建設会社と確認して不明な所など危険個所を事前に共有しておくことでリスク回避に繋がります。
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