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工場解体の重要ポイントと注意点を徹底解説!

日付
2025年12月27日
カテゴリ
工場・倉庫
  • 工場解体の重要ポイントと注意点を徹底解説!

工場の老朽化は、製造業経営者様、施設管理者様の多くが直面する重要な課題です。建物の安全性低下、維持コストの増大、事業の転換など、さまざまな理由から工場解体を検討する場面が訪れます。

しかし、工場解体は事務所や住宅などとは異なる特殊性があり、適切な計画をしなければ、予想外のコストや法的トラブルといった問題が発生してしまう可能性があります。本コラムでは、工場解体を成功させるための重要ポイント(注意点)を徹底的に解説します。

 

工場解体の特殊性を理解する

工場解体が事務所や住宅などの建物解体と大きく異なるのは、その規模の大きさと構造の複雑さにあります。広大な敷地・建物面積、高い天井、重量のある機械設備、機械設備等の荷重に耐えうる建物構造、そして何よりも産業活動に伴う有害物質の存在が、解体作業を複雑化させます。

特に注意すべきは、アスベスト(石綿)、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、化学物質などの有害物質です。これらは古い工場に多く使用されており、適切な処理を怠ると環境汚染や健康被害を引き起こすだけでなく、法的責任を問われることになります。工場解体では、建物だけでなく、これらの有害物質や産業廃棄物の処理に手間と費用が大きく掛かることを理解しておく必要があります。

 

工場の解体工事を行うまでのステップ

 

工場の解体工事を行うまでにさまざまなステップを経て、工事を始めることができます。
解体工事までのステップをご紹介いたします。

 

① 事前調査 ~解体前の事前調査が成功の鍵~

工場解体において最も重要なのが、解体前の徹底した事前調査です。この段階を疎かにすると、後々大きな問題が発生する可能性があります。
まず実施すべきは、工場の建築年代、構造形式、使用されている建材、図面との照合など、建物の詳細を把握します。次に、有害物質調査が不可欠です。アスベスト含有建材の使用箇所と量、PCB含有機器の有無、土壌汚染の可能性など、専門業者による綿密な調査が必要です。

さらに、設備調査も重要です。工場内の機械設備、配管、電気設備、空調設備などの撤去・処分方法を検討します。特に大型機械や特殊設備は、解体・撤去に高度な技術と特殊な機材が必要となるため、早期に専門業者と協議することが求められます。

地中埋設物の調査も重要です。古い工場では、地下タンク、配管、基礎杭など、図面に記載されていない埋設物が存在することがあります。これらが発見されると、追加工事が発生し、コストと工期に大きな影響を与えます。埋設物があるか調査することは難しいですが、埋設物が疑われる場合は建物周りを試掘してみても良いかもしれません。

 

② 解体業者の選定

図面と現地調査等を基に解体業者の選定を行いますが、業者選定を金額のみで判断するのではなく、実績や見積の内容を確認した上で業者選定されることが重要です。
業者選定のポイントは後述いたします。

 

③ 各種届出(法令遵守)

工場解体には、多岐にわたる法令が関係しており、これらを遵守する必要があります。主な関連法令としては、建設リサイクル法、廃棄物処理法、大気汚染防止法などがあります。

特に建設リサイクル法では、床面積の合計が80㎡以上の建物の解体工事を行う場合、工事着手の7日前までに都道府県知事への届出が義務付けられています。

 

参考:長野県「建設リサイクル法のご案内

 

また、一定規模以上の解体工事を行う場合は、着工前に建物の石綿事前調査結果の報告を工事の元請事業者または自主施工者が「石綿事前調査結果報告システム」を通じて電子的に労働基準監督署と地方公共団体へ行うことが

義務とされています。発注者として、このような届出や手続きが必要だということを理解しておくとよいでしょう。

 

関連記事:「建築物や工作物の解体・改修工事における石綿事前調査を解説

 

④ 近隣住民や企業への挨拶・説明

近隣対策も工場解体における重要な課題です。解体工事では、騒音、振動、粉じん、交通渋滞など、周辺環境に様々な影響を与えます。事前に近隣住民や企業への挨拶廻りを行い、場合によっては説明会を開催し、工事内容、工期、安全対策などを丁寧に説明することが必要です。

近隣との良好な関係を維持することは、工事を円滑に進めるだけでなく、企業の社会的信用を守ることにもつながります。

 

工場の解体工事におけるポイント

 

解体業者の選定基準

工場解体は、解体業者の選定にかかっていると言っても過言ではありません。適切な業者を選ぶためには、以下のポイントを確認する必要があります。

 

  • 必要な許可や資格を保有しているかを確認します。建設業許可(解体工事業)、産業廃棄物収集運搬業許可などは基本的な要件です。さらに、アスベスト除去作業を行う場合は、石綿作業主任者の配置が必要です。

 

  • 工場解体の実績が豊富かどうかを確認します。同規模・同業種の工場解体経験があれば、想定されるリスクへの対応力が期待できます。解体業者のホームページを見たり、過去の実績や事例を提示してもらうと良いでしょう。

 

  • 見積もり内容の透明性も重要な判断基準です。工事費用の内訳が明確で、有害物質処理費用、産業廃棄物処分費用などが適切に計上されているかを確認します。極端に安い見積もりは、別途項目が多く追加費用が発生したり、不法投棄などのリスクがあったりするため、注意が必要です。

 

また、保険への加入状況も確認しておくと良いでしょう。万が一の事故や損害が発生した場合にも適切な対応が期待できます。

 

コスト管理と予算計画

工場解体には多額の費用がかかるため、適切なコスト管理と予算計画が不可欠です。解体費用は、建物の規模、構造、立地条件、有害物質の有無、廃棄物の量などによって大きく変動します。
一般的な費用の内訳としては、解体工事費、有害物質除去費用、産業廃棄物処分費用、整地費用、各種届出・申請費用などがあります。予算計画を立てる際は、複数の業者から見積もりを取得し、比較検討することが重要です。ただし、最安値の業者を選ぶのではなく、費用対効果と信頼性を総合的に判断する必要があります。

また、予備費を確保しておくことも重要です。事前調査で発見できなかった埋設物や有害物質が見つかった場合、追加費用が発生します。ある程度の予備費を予算の段階で確保しておくと良いでしょう。

 

工期の設定

工場解体には、想像以上に長い工期が必要です。これまで述べてきたようにさまざまな工程があり、事前調査から解体工事、整地まで含めると、数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。

工期を設定する際は、各工程に十分な余裕を持たせることが重要です。特に、有害物質の処理は天候や作業条件に左右されやすく、予定通りに進まないことがあります。解体工事のみならず、調査・申請期間なども解体業者と事前に打合せをし、スケジュールに落とし込む必要があります。

 

跡地利用についての計画

工場解体を検討する際は、跡地をどのように活用するかも重要な検討事項です。跡地利用の計画によって、解体方法や整地の程度が変わってくるためです。

跡地を売却する場合は、不動産会社や購入者の要望に応じ、どこまでの範囲を解体・整地するか検討する必要があります。

また、跡地に新たな施設を建設する場合は、地盤の状態や埋設物の完全撤去が重要になります。新設する建物の計画段階によっては、事前に建設会社とも相談し、将来の建設計画を見据えた解体工事を行うことで、後の工事をスムーズに進めることができます。

 

具体的な近隣対策と環境配慮

適切な近隣対策を行うことで工事を円滑に進めることができます。具体的に対策方法をご紹介いたします。

  • 騒音対策

・作業時間の規定・厳守→夜間・早朝、土日祝は原則禁止

・防音パネル・防音シートの設置

・低騒音型重機の使用

 

  • 振動対策

・振動抑制装置付き重機の使用、防振マット敷設

・圧砕機の使用制限

・事前家屋調査の実施

 

  • 粉塵対策

・散水装置の常設(自動散水システム)

・防塵ネット・シートの設置

・搬出車両のタイヤ洗浄

 

  • 交通対策

・ 時間帯の分散(通学・通勤時間を避ける)

・交通整理員の配置、搬出経路の最適化

・大型車両の台数制限

 

まとめ

工場解体は、単なる建物の取り壊しではなく、環境保全、法令遵守、コスト管理、近隣対策など、多岐にわたる要素を考慮しなければならない複雑なプロジェクトです。成功させるためには、早期の計画立案、徹底した事前調査、信頼できる業者の選定、適切な予算確保が不可欠です。専門家に相談しながら、安全で適法な工場の解体というプロジェクトを進めていきましょう。

 

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ヤマウラでは、建築物等の解体工事を承ります。
解体工事はもちろん、その他事前調査から申請業務、近隣説明までご対応させていただきます。また、工場の建て替え計画であれば、工場の解体から工場の新設までワンストップで承ることが可能です。お気軽にご相談ください。

 

 

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