〒399-4195 長野県駒ヶ根市北町22-1
TEL. 0265-81-6010 FAX 0265-82-3966

建設コラムColumn

ホーム 建設コラム 食品工場排水の仕組みと処理方法|設備と法規制対応のポイント

食品工場排水の仕組みと処理方法|設備と法規制対応のポイント

日付
2026年01月30日
カテゴリ
食品工場
  • 食品工場排水の仕組みと処理方法|設備と法規制対応のポイント

食品工場の排水には、油分やタンパク質など多くの有機物が含まれており、適切に処理しないと悪臭や水質汚濁などの法令違反、設備トラブルにつながるおそれがあります。工場を安定して運営するためには、排水の性質を理解し、適切な処理方法や設備を整えることが欠かせません。この記事では、食品工場排水の特徴や基本的な処理フロー、設備、法規制のポイントをわかりやすく紹介します。

 

食品工場排水の特徴と課題

 

食品工場の排水は、有機物が多く含まれる上、日によって成分が大きく変動するという特徴があります。排水の質が安定しないと処理設備への負荷が高まり、悪臭や水質汚濁、処理不良などのトラブルにつながるため、まずは食品工場排水の性質を正しく理解することが重要です。

 

食品工場排水に含まれる主な成分

食品工場の排水には、油分・タンパク質・糖分といった有機物や、窒素・リンなどの栄養塩類が多く含まれます。これらはBOD(生物化学的酸素要求量)・COD(化学的酸素要求量)の数値を高める要因となり、適切に処理しないと環境悪化を招きます。特にBODや油分は日々の変動が大きく、処理設備への負荷が高まりやすい点が課題です。

 

他業種と異なる食品工場排水の難しさ

食品工場排水は、原料や製造品目によって成分が大きく変化します。加えて、季節による生産量の増減、ライン切り替え、洗浄工程の頻度などにより、排水の濃度・量・温度・pHが日々変動するのも、食品工場排水の特徴です。

このため処理が安定しにくく、微生物処理のバランスが崩れやすい点も食品工場排水の難しさといえます。また、油脂の固着やスカム発生、悪臭など現場特有のトラブルも起こりやすいため、維持管理にも高い専門性が求められるでしょう。

 

排水処理の基本フローと仕組み

食品工場の排水処理は、以下の流れで行われます。

1. 前処理……原水に含まれる固形物や油分を取り除く
2. 生物処理……微生物の働きで有機物を分解
3. 高度処理……放流基準を満たすための処理

食品工場の排水は有機物が多く、日々の濃度変動も大きいため、各工程が安定して機能することが重要です。

 

前処理(スクリーン・油分分離)

前処理では、まずスクリーンで野菜くずや包装片などの固形物を除去し、グリストラップで油脂を分離します。

さらに、微細な浮遊物や油分を効率よく取り除く「加圧浮上装置」(DAF)、砂粒など比重の大きい物質を沈降させる「沈砂槽」、排水のpHを整える「中和槽」などを組み合わせ、後段の生物処理が安定しやすい状態をつくります。前処理の精度は全体の処理効率に直結するため、非常に重要な工程です。

 

生物処理(好気・嫌気法)

生物処理では、微生物が排水中の有機物を分解し、BODを大幅に低減します。代表的な方法には、空気を送り込んで微生物を活性化させる「好気処理」と、酸素を使わずに分解を行う「嫌気処理」があります。活性汚泥法や生物膜法など、処理方式によって特徴が異なり、排水の濃度や量に応じて最適な方式を選定します。

 

高度処理・放流(凝集沈殿・膜処理など)

生物処理後の水をさらにきれいにするため、凝集剤を使って微細な汚濁物質を沈殿させる「凝集沈殿」や、膜を通して不純物を除去する「膜処理(MBRなど)」が用いられます。この工程は、放流基準のクリアや再利用水を確保するために欠かせません。近年は省エネ型設備や自動制御技術も進化しており、運用負荷を抑えながら高い処理性能を維持できるようになっています。

 

排水処理設備の種類と選定ポイント

食品工場の排水処理設備は、排水の性質や処理目標に応じて適切な方式を選定することが重要です。排水量や濃度、油分の有無、日々の変動幅などを踏まえ、前処理・生物処理・高度処理をどのように組み合わせるかが重要です。ここでは、代表的な設備の組み合わせ例を紹介します。

 

主な処理設備の構成

前処理設備には、固形物を除去するスクリーン、油脂を分離するグリストラップ、微細な浮遊物を除去する加圧浮上装置(DAF)などがあります。生物処理では、活性汚泥法や生物膜法が一般的で、排水中の有機物を微生物の働きで分解します。

放流基準を満たすためには、これらに加えて、凝集沈殿や膜処理(MBR)といった高度処理設備が用いられます。これらを適切に組み合わせることで、安定した処理と環境負荷の低減が可能になります。

 

設備導入時の比較ポイント

設備選定では、まず排水の性状を正確に把握することが不可欠です。BOD・COD濃度、油分量、pH、排水量の変動などを踏まえ、必要な処理能力を見極めます。また、運転管理の体制や維持管理のしやすさも重要な判断材料です。

たとえば、処理能力を重視する場合は活性汚泥法、負荷変動への強さや管理性を重視する場合は生物膜法が適しています。さらに、省エネ性や将来の増設・改修のしやすさも考慮し、工場の運用に合った設備構成を選ぶことが求められます。

 

法規制・基準と守るべき環境責任

食品工場の排水は、有機物や油分を多く含むため、適切に処理しなければ水質汚濁や悪臭の原因となります。そのため、事業者には法令を遵守し、地域環境への負荷を最小限に抑える責任があります。排水処理設備の計画や運用の際は、法規制の内容を正しく理解し、基準を確実に満たすことが求められます。

 

水質汚濁防止法と自治体条例

食品工場の排水は、「水質汚濁防止法」に基づき、BOD・COD・SS・pH・油分などの排水基準を守らなければなりません。自治体ごとに上乗せ基準が設定されている場合もあり、工場の立地によって求められる水質レベルが異なります。

また、一定規模以上の工場では、排水量や水質の定期測定、記録の保存、行政への報告義務が課される点にも注意しましょう。これらの基準を満たすためには、設備の適切な運転管理と定期的な点検が不可欠です。

 

企業に求められる環境コンプライアンス

法令遵守は最低限の義務であり、企業には地域環境を守る社会的責任があります。排水処理の安定運転は、周辺住民への悪臭・水質汚濁リスクを減らすだけでなく、企業の信頼性向上にもつながるでしょう。

また、省エネ設備の導入や汚泥削減など、環境負荷を低減する取り組みも重要です。持続可能な工場運営を実現するためには、法規制を踏まえつつ、より高い環境配慮を目指す姿勢が求められます。排水処理施設を屋内に設置する場合や、屋外に大規模な槽を設ける場合は「建築基準法」への適合も確認が必要です。設備のスペックだけでなく、建物側の耐荷重や防水対策も含めたトータルな計画が求められます。

 

持続可能な排水処理の最新動向

近年の排水処理では、再生水を工場内で循環利用する取り組みが広がり、水資源の有効活用とコスト削減が進んでいます。また、嫌気処理で発生するバイオガスをエネルギーとして回収する技術も注目されており、排水処理も含めた「エネルギー創出」への貢献が期待される時代です。

さらに、AIやIoTを活用した自動制御により曝気量や薬品量を最適化したり、省エネと安定運転を両立したりする工場が増えています。これらの技術は脱炭素や環境経営とも強く結びついており、持続可能な工場運営を支える重要な要素です。

 

よくある質問と答えQ&A

Q1.排水処理設備を設置するさい、建築側で考慮すべきスペース・動線上の注意点は?
A1. 設備本体だけでなく、点検・保守のための作業スペース確保が重要です。薬品搬入や汚泥搬出の動線、騒音・臭気の影響を避ける配置、床耐荷重や防水仕様なども建築計画段階で検討しておく必要があります。そのため、工場建設や改修の際は、建築と設備の双方に精通したパートナーに相談することで、手戻りのない計画が可能になります。

 

Q2. 排水臭やスカムを防ぐには?
A2. 前処理での固形物・油脂の確実な除去、曝気不足の解消、槽内の滞留防止が基本です。定期的な清掃や汚泥管理に加え、嫌気化を防ぐための適切な通気や循環も効果的です。

 

Q3. 処理装置の更新タイミングは?
A3. 処理能力の不足、老朽化による故障増加、維持管理コストの上昇が主な判断材料です。排水量の増加や基準強化に対応できない場合も更新の目安となります。

 

まとめ

食品工場の排水処理は、法令遵守と環境配慮を両立するための重要な取り組みです。自社の排水の特性に合った処理フローと設備を整えることで、安定した操業と環境負荷の低減が実現できます。まずは現状を正しく把握し、専門家とともに最適な改善策を検討しましょう。

 

ヤマウラのSmart Millで実現する24時間監視

ヤマウラの向上監視システム「Smart Mill」は、自動記録でデータ(人感、温度、圧力、振動、距離など)を正確に記録し遠隔から24時間監視が可能で、省人化を図ります。また、予算に応じた小規模な「スモールスタート(小規模導入)」にも対応しているため、食品工場においても、段階的なスマートファクトリー化も可能です。

 

TOP