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最適なデータセンター場所選定のポイントを解説!注目される長野県

日付
2025年11月25日
カテゴリ
事務所・データセンター 土地関連
  • 最適なデータセンター場所選定のポイントを解説!注目される長野県

デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する現代において、データセンターは企業のITインフラの心臓部として重要な役割を果たしています。クラウドサービスの普及、IoTデバイスの増加、ビッグデータ分析の需要拡大により、データセンターの重要性はかつてないほど高まっています。
これまで国内データセンターは関東・関西に集中していましたが、近年、地方への分散立地が戦略的に重要視されるようになってきました。その中でも特に注目を集めているのが長野県です。冷涼な気候、災害リスクの低さ、首都圏への適度な距離、そして充実した再生可能エネルギー環境など、データセンター立地として理想的な条件を備えているからです。
本コラムでは、データセンターの最適な立地を選定する際に考慮すべき重要なポイントを解説しながら、なぜ長野県がデータセンター立地として優れているのかを具体的にご紹介します。

 

データセンターの特徴と最適な土地

まずは、データセンターの特徴と設置をご検討するポイントである立地について解説いたします。

 

データセンターの基本的な特徴と機能

データセンターは、企業のサーバーやネットワーク機器などを集約し、情報システムを効率的かつ安全に運用するための専門施設です。データセンターに必要な設備など主な建物の構成要素を5つ紹介いたします。

 

災害に強い建物構造

免震構造:建物と地盤の間に積層ゴムやオイルダンパーを設置し、地震の揺れを大幅に軽減
耐震構造:太く頑丈な柱や梁で建築され、建物自体が地震のエネルギーを吸収

 

非常時の電力供給設備

・UPS(無停電電源装置):電力供給停止を検知し、即座に電力供給を開始(数分~数十分)
・非常用発電設備        :自家発電等複数の発電機の設置

 

防火、空調・冷却設備

・火災予兆システム    :火災報知器の数十倍の感度で火災を早期検知
・ガス消火設備      :窒素ガスや二酸化炭素で酸素を遮断し、サーバーへの影響を最小限に
・水冷式空調・冷房システム:IT機器から発生する熱に対応。効率的な冷却と省エネを実現

 

万全なセキュリティ対策

・有人受付、セキュリティゲート、24時間有人警備体制
・生体認証(指静脈認証):個人を特定する高度な認証システム
・多重チェック:入口からサーバー室まで何重ものセキュリティチェック
・アンチパスログ方式・インターロック方式:不正入退室を防止

 

ネットワークインフラ

・スイッチやルーターを複数設置し、一つの回線が遮断されても別の回線で接続維持
・通信ビルに直結し、安定したネットワーク環境を提供

 

データセンター設置の適地条件(インフラ条件)

データセンターの特徴を踏まえ、立地選定で重要な条件を紹介いたします。

 

特別高圧などの電力供給体制が整っている

近年のハイパースケールデータセンター(大規模施設)では、最小規模でも約3万kW(一般家庭約1万世帯分)の電力が必要ともいわれています。そのため、変電所などの電力インフラが充実しているエリアが求められます。

 

データセンター需要地から通信遅延の影響が少ない

動画配信などのデジタルコンテンツサービスでは、通信遅延(レイテンシー)が品質に直結します。具体的には、お客様のデバイスとサーバー間で物理的な距離が遠いほど、転送に時間がかかり、通信遅延になってしまいます。利用者が多い都市部に近い場所や、インターネットサービスプロバイダーの相互接続拠点に近い立地が有利です。

 

自然災害リスクが低い

各市町村の防災ハザードマップを確認し、自然災害リスクが低い場所を検討されると良いでしょう。

  • 地震災害 :活断層が近くになく、液状化の危険性が低い強固な地盤
  • 洪水・水害:河川の氾濫や浸水の影響を受けにくい高台や平坦な土地
  • 土砂災害 :土砂崩れなどのリスクが低いエリア

 

交通の利便性

緊急時の対応やメンテナンス作業が必要なため、オフィスからアクセスしやすい立地が望ましいといえます。

 

将来の拡張性

データ量の増加に対応できる空きスペースや追加ラックの確保、場合によっては建物の増築が可能かどうかといった将来の拡張性も重要です。

 

長野県はデータセンター設置に適している

総務省よりデジタルインフラの整備を目的に「デジタルインフラ整備計画2030」を策定されました。災害対策、電力不足対策や地方創生の観点から今後更に、データセンターの地方分散が進んでいくと思われます。その中でも長野県は様々な観点よりデータセンターに適した土地といえます。
なぜ、長野県がデータセンターの立地として優れているのか具体的に説明いたします。

 

総務省「デジタルインフラ整備計画2030」の公表についてはこちら

 

電力供給の安定性

電力の安定供給は、データセンターにとっての生命線です。長野県は中部電力管内で電力インフラが整備され、異なる変電所から受電(電力2系統受電)することでより安定した電力を供給できます。
また、自然エネルギーを活用した電力供給も注目されています。長野県は水力発電の適地が多く、太陽光発電においても全国有数のポテンシャルを持っています。実際にENEOSリニューアブル・エナジー株式会社(旧:ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社)では、長野県大町市にある太陽光発電所にデータセンター設備を併設した事例もあります。このように再生可能エネルギーで運営できる環境は、他の立地にはない大きな競争優位性となります。

 

自然災害リスクの低さ ーBCPに最適な立地ー

日本は地震、台風、洪水など自然災害の多い国です。データセンターの立地選定では、これらの災害リスクを慎重に検討する必要があります。長野県は内陸部に位置するため、津波のリスクがありません。また、台風の直撃を受けにくく、海岸部と比較して風水害のリスクも低い地域が多くあります。地震に関しても、他の大都市圏と比べ、活断層の影響を受けにくく、適切な場所選定により地震リスクを最小限に抑えることが可能です。
また、首都圏のバックアップ拠点としての役割もあります。です。首都直下地震などの大規模災害時、東京や神奈川のデータセンターが被災するリスクを考慮すると、首都圏から適度に離れた長野県は理想的なBCP(事業継続計画)拠点となります。

中央自動車道や上信越自動車道を経由して首都圏とアクセス可能な距離でありながら、同時被災のリスクを大幅に低減できるのです。東日本大震災以降、長野県のデータセンターへの関心が急速に高まったのも、この地理的優位性が評価されたためです。企業がリスク分散を考える際、長野県は「首都圏に近く、それでいて災害リスクプロファイルが異なる」という絶妙なポジションを占めています。

 

参考に「南海トラフ地震に備えるBCP対策の必要性」(イーファクトHP)をご覧ください。

 

交通インフラの充実

長野県の大きな強みは、日本列島の中央部に位置し、首都圏・中京圏・北陸地域の結節点になる地理的メリットです。中央自動車道と上信越自動車道という2つの主要高速道路が県内を縦横に走り、東京、名古屋、新潟といった主要都市へのアクセスが良好です。北陸新幹線も県内を通過しており、人的移動の利便性も高い環境です。なお、リニア中央新幹線が開業されれば、長野県(飯田市)から東京(品川)まで約45分で行くことが可能になります。

 

参考:首都圏(東京)から長野県へのアクセス

出発地 到着地(長野県主要都市) 距離(約) 所要時間(高速使用時) 主な経路
東京(都心部) 長野市 約230㎞ 約3時間20分

関越自動車道→

上信越自動車道

東京(都心部) 松本市 約220㎞ 約3時間15分 中央自動車道

 

冷涼な気候と冷却効率 —運営コストの大幅削減ー

データセンターの運営コストの大きな部分を占めるのが冷却費用です。サーバーから発生する膨大な熱を効率的に排出するため、気候条件は立地選定の重要な要素となります。
長野県の最大の優位性の一つが、冷涼な気候です。県内の標高の高い地域では、年間を通じて平均気温が低く、特に夏場でも比較的涼しい環境が保たれます。平均気温を東京都と長野県で比較すると東京都は17.6℃で長野県は13.6℃で4℃も東京都の方が高くなっています。

政府統計の総合窓口「統計でみる都道府県のすがた2025」自然環境2025年調査データ)

 

この自然条件を活かすことで、外気冷却(フリークーリング)を効果的に活用でき、空調コストを大幅に削減することが可能です。冷却コストの削減は、事業の収益性を大きく左右する要因です。

 

経済的メリット ー土地・建物コストの優位性ー

データセンターの建設・運営には、土地取得費、建設費、固定資産税など、多額の不動産関連コストが発生します。
長野県は首都圏と比較して土地コストが大幅に低いという優位性があります。東京都心や周辺県でデータセンター用地を確保しようとすると、初期投資が膨大になりますが、長野県では同じ予算でより広大な敷地を確保できます。これは将来的な拡張性を考える上でも重要なポイントです。

 

IT人材の育成と確保 ー信州ITバレー構想の推進ー

データセンターの運営には、専門的な知識を持つ技術者が不可欠です。優秀な人材を確保できることは、長期的な運営の成功に直結します。
長野県は、工業高校や理工系教育に強みを持つ大学が複数存在します。これらの教育機関は、地域のIT産業と連携し、AI・IoTなどの先端技術に携わる人材育成プログラムを展開しており、地元採用による安定的な人員確保も可能です。

 

データセンター建設におけるヤマウラの強み

ヤマウラはこれまで培ってきた総合建設力に、ICT・DX、省エネ・再生可能エネルギーなどの最新技術を融合させ、新たな事業成長の柱として、長期的な成長が見込まれるDC領域に注力すべく、データセンター建設専用のウェブサイトを解説いたしました。ヤマウラは地域のゼネコンとして、データセンターの適地のご紹介から建物の設計、施工までご対応が可能です。

ヤマウラ 「データセンター建設」専用ウェブサイトはこちら

 

まとめ

これまで見てきたように、データセンターの立地選定は、単なる物理的な場所の問題ではありません。電力供給、災害リスク、ネットワーク、気候、コストなど、多岐にわたる要素を総合的に評価することが求められます。立地選定は、事業の成否を左右する戦略的な意思決定であり、長期的な運用コスト、サービス品質、事業継続性、そして環境への配慮まで、すべてが立地によって大きく影響を受けます。
長野県は、これらすべての要素において高い水準のバランスを実現している稀有な立地です。

 

長野県・山梨県のデータセンター建設はヤマウラへ

データセンターの計画する場所の選定に悩まれておりましたら、ぜひヤマウラへご相談下さい。データセンターの知識を持ち、土地提案からご紹介いたします。
また、当社エンジニアリング事業部にて「マイクロデータセンター」を開発しました。通常のデータセンターに比べ、省スペース・モジュール化したデータセンターでメインサーバのバックアップサーバ(データセンター)としてご検討ください。

 

 

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