〒399-4195 長野県駒ヶ根市北町22-1
TEL. 0265-81-6010 FAX 0265-82-3966

建設コラムColumn

ホーム 建設コラム 工場のクリーンルームとは?クラスや原則を解説

工場のクリーンルームとは?クラスや原則を解説

日付
2025年10月09日
カテゴリ
工場・倉庫
  • 工場のクリーンルームとは?クラスや原則を解説

精密機器・医薬品・食品など、わずかなホコリや細菌の混入が致命的な結果を招く製造現場では、クリーンルームが必須です。しかし「クリーンルームって実際どんな仕組み?」「どんな種類やクラスがあるの?」ということは意外と知られていません。

この記事では、クリーンルームの基本的な目的や分類、計画・維持管理の4原則までをわかりやすく解説します。製造現場に求められる清浄環境について理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

工場のクリーンルームとは?

 

クリーンルームとは空気中のホコリや細菌などの微粒子を厳密に管理し、一定レベル以下に保ち清浄度を高めた空間です。わずかな異物混入が品質を左右する半導体や医薬品などの製造現場では不可欠な設備です。食品加工でもより高い衛生環境を保つためにクリーンルームを取り入れる事業者も増えています。

一般的な空気清浄機では除去できない微細な粒子まで取り除くため、専用の空気循環システムや高性能フィルターが使われます。温度・湿度・気圧を細かく調整し、作業者の汗や皮脂が製品に触れないよう管理されるのも特徴です。

 

クリーンルームの目的

クリーンルームの目的は、製品に微粒子や細菌が付着するのを防ぎ、安定した品質を維持することです。

例えば半導体や液晶ディスプレイの製造では、肉眼では見えないホコリが基板に付着するだけで電気回路がショートし、不良な部品が組み込まれた製品は販売できない状態になり、膨大な損失を被ることも。これを防ぐために、クリーンルームで空気中の微粒子濃度を厳密に管理し、外部からゴミが侵入しないようクリーンルーム内は隣接する部屋よりも気圧を高め、常にクリールーム内の空気が室外へ流れるようにします。
また、製薬工場では、人の吐息に含まれる水分でさえも菌の繁殖原因となるため、湿度管理も徹底し一般的に30~60%RHで管理されています。

 

工場のクリーンルームの4原則

 

クリーンルームの清浄度を確保し、安定した製品を供給するための工場のクリーンルームの4原則をご紹介します。

  • 発生させない
  • 持ち込まない
  • 堆積させない
  • 速やかに除去する

 

発生させない

クリーンルームでは、作業員自身が汚染の発生源にならないよう注意が必要です。無塵服・マスク・手袋・クリーンシューズを着用し、筆記具や工具も専用の発塵しにくいものを使います。また、クリーンルーム内は粉塵等を一定の気流で除去しているためそれを妨げる過度の動作や粉塵等を舞い上がらせる行動は避けなければなりません。

 

持ち込まない

外からのホコリやチリを室内に持ち込まないことも、クリーンルームの基本です。作業員は入室前に衣服の付着物を粘着ローラで除去し露出する部分は徹底した洗浄消毒をしたうえで、必ずエアシャワーを浴び、衣服類に付いた粉塵等をしっかり吹き飛ばします。一方、材料や機器は、あらかじめ洗浄し付着物を除去してから持ち込み使用します。搬入時の粉塵等の進入を極力少なくするために専用のパスボックスを使って搬入する場合もあります。

 

堆積させない

粉塵等を堆積させないために、ホコリがたまりやすい隙間や凹凸をなくします。空気の流れを妨げないよう、不要な機材を放置しないことも大切です。常に整理整頓を心がけ清掃しやすい環境を維持することを心がけましょう。

 

速やかに除去する

発生した粉塵等の微粒子をすぐに取り除く工夫も大切です。作業はできるだけ排気口の近くで行い、微粒子が空気と一緒に排出されやすいようにしましょう。局所排気装置を使って、作業直後に空中に舞ったホコリを素早く吸い取ると、より効果的です。

 

工場のクリーンルームの種類

 

クリーンルームは、汚染があった際の影響を最小限に抑えるために、一定の気流パターンを維持するように設計します。気流方式により、次の5タイプあります。

  • 垂直一方向流方式
  • 乱流方式
  • 水平層流方式
  • クリーントンネル方式
  • ハイブリッド局所方式

 

垂直一方向流方式

垂直一方向流方式は、天井一面に設置された高性能フィルターから床に向かって、空気がまっすぐ流れる仕組みになっています。

天井から床に向かって一定方向に空気が流れることで、作業中に発生したホコリや微粒子が空中に漂わず、そのまま下へ押し流されます。床には細かいスリットや網状の排気口が設けられており、空気と一緒に汚染物質を吸い込んで外部へ排出します。常に清浄な状態が保たれるため、特に高い清浄度が求められる半導体や精密機器の製造現場で多く使われています。

 

乱流方式

乱流方式は、天井の一部から吹き出した清浄な空気が、室内全体をかき混ぜるように広がり、壁や床の排気口から外へ抜けていく仕組みです。空気の流れが一方方向ではなく、部屋の中を舞うように循環するため、塵やホコリが一時的に室内にとどまりやすく、一方向流方式よりも清浄度はやや劣ります。そのぶん構造がシンプルで設備コストを抑えられるのが利点です。

厳密な無菌環境が不要な薬品工場など、一定の清浄度を保てば十分な現場で広く採用されています。

 

水平層流方式

水平層流方式は、部屋の一方の壁から清浄な空気を送り出し、反対側の壁へ向かって空気をまっすぐ流す仕組みです。天井からではなく横方向に風が流れるのが特徴で、室内の空気が常に一方方向に押し出されます。

フィルターの近くでは常に新鮮な空気が供給されるため清浄度が高く、反対側の排気口付近ではホコリがたまりやすくなり、やや清浄度が下がります。注射剤の充填など汚染を極力避けたい工程をフィルター側で行い、梱包などの作業は排気側で行うなど、清浄度に応じて作業内容を変えると良いでしょう。

 

クリーントンネル方式

クリーントンネル方式は、製造ラインの一部など、限られた範囲だけを清浄に保ちたいときに用いられる方式です。透明なトンネル状のカバーの中にクリーンな空気を流し、その内部だけを高い清浄度に保ちます。

部屋全体をクリーンルームにする必要がないため、スペースやコストを抑えて運用できるのが大きなメリットです。半導体や精密部品の工場では、組立工程や検査工程など、ごく限られた工程だけを清浄化する目的で、この方式がよく採用されています。

 

ハイブリッド局所方式

ハイブリッド局所方式は、部屋全体には乱流方式を使って基本的な清浄度を確保しながら、特に高い清浄度が求められる部分には一方向流方式を組み合わせる方法です。

工場全体を高い清浄度で保ちたいわけではなく、必要な場所だけを重点的に清浄したいときに取り入れられます。たとえば大型の食品加工工場では、作業全体は乱流方式で管理し、菌の混入を防ぎたい包装や殺菌工程だけに一方向流を取り入れるなど、工程ごとに適切な清浄度を使い分けています。

 

工場のクリーンルームのクラス

 

クリーンルームのクラスは、ISO規格に基づいたものでは1〜9の等級に分けられています。数字が小さいほど空気中のゴミやホコリが少なく、清浄度が高いことを意味します。たとえば、半導体の基板工程にはクラス3〜5、医薬品や精密機械の製造にはクラス5〜7、食品工場ならクラス6〜8が目安です。

クラスが高くなるほど、ULPAフィルターや一方向の空気の流れをつくる層流方式など、高度な設備が必要になります。その分コストも上がるため、適切なクルーンルームのクラスを設定し費用と製品の特性を考えながら、慎重に選びましょう。

なお、以前まで広く使われていたアメリカの「連邦規格(Fed. Std. 209E)」では、1立方フィートあたりの粒子数で清浄度が定められていました。現在は1立方メートルあたりの粒子数で規定するISOが国際標準ですが、現場では今も「クラス1,000」などアメリカ規格に基づく呼び方が使われることが多くあります。

クリームルームの清浄度とクラスの一覧は下記となります。

 

まとめ

 

今回は、工場のクリーンルームについて解説しました。クリーンルームは、製品の品質や安全性を守るために欠かせない設備であり、その目的や種類、クラス、維持の4原則を理解することが重要です。用途に応じた最適なクリーンルームを選び、適切に運用することで、高品質なものづくりが実現できます。

特に精密機器や医薬品、食品など異物混入が致命的な業界では、クリーンルームの重要性はさらに高まります。

 

クリーンルームのご相談は経験豊富なヤマウラへ

長野・山梨で工場のクリーンルームを考えている方は、施工実績が豊富な当社にぜひご相談ください。用途に応じた最適なご提案をさせていただきます。

ヤマウラ「クリーンルーム企画設計・施工」については⇒こちら

ヤマウラの工場・倉庫建築事例、カタログは下記よりご確認下さい。

 

TOP