建設コラムColumn
「工場を建てたいけれど、いくらかかるのか全く見当がつかない」
「土地選びから業者選定、補助金のことまで、何から始めればいいのかわからない」
そんな不安を抱えていませんか。
工場建設は単なる建物の話ではなく、事業の未来を左右する大きなプロジェクトです。この記事では、工場を建てる土地の選び方から、建てる際に必要となる費用の考え方、スケジュール、設計・施工の流れ、そして活用できる補助金制度まで解説します。初めての方でも全体像を把握できるようまとめるので、参考にしてください。
目次
工場を建てる土地の選び方
始めてや新たな場所で工場を建てられる場合、まず、工場を建設するための広さや立地条件だけでなく、その土地が法律上「工場を建てられる地域」であるかを確認する必要があります。以下で詳しく説明します。
工場を建設できる用途地域
用途地域とは、都市計画法で決められた地域区分で、その区分ごとに建築可能な建物の用途や建ぺい率、容積率などを定める制度です。建築可能な地域以外に計画しても建築許可は下りず、許可を得ずに建築した場合は近隣トラブルにつながる可能性があり、建物の使用禁止、更に撤去などの行政処分がされます。
工場の建設が可能な用途地域は主に「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」の3つです。これらは工場等の集積地のため、トラックの出入りや工場等からの騒音・振動に対して一定程度の理解があり、安心して工場を設計・建設できます。インフラが整っている場合が多く、初期投資を抑えられるメリットもあります。
市街化区域・市街化調整区域
工場用地を選定する際に見落としてはならないのが、その土地が「市街化区域」か「市街化調整区域」かという点です。
計画的なまちづくりの一環として都市計画法で定められている区分で、市街化区域は「既に市街地を形成している区域」と「おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域」のことで建物建設は比較的スムーズに進められます。一方、市街化調整区域は原則として建物の建築が制限されており、工場の新設は極めて難しいです。
詳しい条件や気をつけるべき法律を知りたい方は、こちらをチェックしてください。
関連記事:工場を建設できる土地の条件・法律
工場を建てる流れと工期の目安
工場建設にかかる期間は建物の広さによって異なります。例えば鉄骨造の場合、目安は以下の通りです。
面積 | 工事期間 |
〜99㎡ | 3ヶ月未満 |
100~699㎡ | 3~5か月 |
700~2,999㎡ | 6~8か月 |
3,000~9,999㎡ | 9~12か月 |
10,000㎡以上 | 13~18か月 |
出典:2023年の国土交通省による「建築物着工統計」
規模にもよりますが設計で数か月から半年、確認申請に1〜2か月、工期が6~8か月と、中規模以上の場合、1年以上はかかるのが一般的です。続いて、工場建設の流れと各ステップのまとめをご紹介します。
工場の目的・コンセプトを決める
まず「何のために建てるのか」という目的を明確にしましょう。製造ラインの増設なのか、古い施設の入れ替えか、または新規事業のためか、それをどのように運用するのかによって、必要な設備も予算も大きく変わってきます。
目的が定まれば、ムダのない設計・施工ができるので、設計を始める前に方向性をしっかり定めておきましょう。
依頼する業者を選ぶ
工場建設は、設計・施工・設備・法令対応など多くの工程が絡み合う大規模プロジェクトです。業者選びは、施工品質の低下や工期の遅延、予算オーバーといったリスクを避けるうえで極めて重要です。
業者選びをする際には、過去の施工実績と合わせて提案力の有無をしっかり確認しましょう。また、最近では設計DX技術で設計段階から具体的にシミュレーションして設計的に問題ないか検証が可能で、そういった設計DXによる提案を確認すると良いです。
請負契約後、施工段階での設計変更や予算の調整など、細かな検討が設計・施工会社とは必要になります。工場が完成した後も、運用開始まで丁寧にサポートしてくれる業者を選ぶことも大切です。
予算と基本計画、基本設計を実施する
建物の広さ、必要な設備や人員配置計画、内部のレイアウトを決めて、どこにお金をかけるか優先順位をつけましょう。「これもあれも必要」と詰め込んでしまうと、すぐに予算オーバーになるため、注意が必要です。
また、将来的に工場を拡張する可能性も考えて計画すると、長く使い続けられる工場になります。
詳細設計を詰めていく
基本設計が終わったら、より具体的な部分を詰めていきます。電気、給排水などのインフラの容量・設備の配置・建材の種類などの細かな内容を決定していきましょう。
建築基準法や消防法、都道府県や区市町村の条例などの各種法令に沿った設計が求められるため、専門家との密な連携が不可欠です。詳細設計が終わったらいよいよ建築確認申請をおこないます。
工事の資料や進捗を確認する
建築確認済証が下りたら、いよいよ工事が着工できます。業者側ではここまでに工事を円滑に進めるために「施工計画書」や「施工図」といった書類を作成します。その内容に関しては定例会議などを通じて共有されます。
なお、建設期間をできるだけ短縮できる考え方を知りたい方は、こちらの記事も参照してください。
関連記事:工場建設の期間は?知らないと損するスケジュール設定のポイント
工場を建てる費用
工場建築にかかる「坪単価(=3.3㎡あたりの費用)」は、構造の種類によって以下のように異なります。
構造 | 坪単価 |
木造 | 64万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 177万円 |
鉄筋コンクリート造 | 218万円 |
鉄骨造 | 116万円 |
この金額は建物本体の工事費だけを示しており、造成・外構・設備・インフラなどの費用は含まれていません。そのため、実際の総工費はこの金額より20〜30%以上高くなることが一般的です。
総費用を左右するその他の費用
工場建設では、建物本体の工事費以外にも以下のような追加費用がかかります。
● 設計・監理費
● 各種調査費
● 開発工事
● 解体工事
● 地中埋設物の撤去費用
● 地盤改良や杭工事
● 電気や上下水道の接続工事
● 外構工事
また、食品工場や精密機器工場のように高い衛生基準や温湿度管理が求められる業種では、内装・空調・給排気の仕様が厳しくなり、費用はさらに大幅に上がります。「坪単価×面積」で単純に全体を計算するのではなく、諸費用も含めてトータルで見積もることが大切です。
費用を抑える方法をもっと詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
関連記事:工場の建設費用を安くする4つのコツ|相場や補助金も解説
工場を建てる際に使える補助金
工場建設にかかる費用は数千万円から数十億円に及ぶため、補助金を活用することで資金負担を大きく軽減できます。ただし、補助金制度は地方自治体ごとに異なり、年度ごとで変更されることが多いので、以下の情報はあくまで目安として考えてください。
【工場を建てる際に使える主な補助金例】
|
支援対象企業 |
補助金上限額 |
補助率 |
使用可能用途 |
大規模成長投資補助金 |
中堅・中小企業 |
最大50億円 |
1/3 |
工場建設 設備投資 システム構築 |
成長加速化補助金 |
売上高100億円を目指す中小企業 |
最大5億円 |
1/2 |
建築 |
新事業進出補助金 |
中小企業等 |
最大9,000万円 |
1/2 |
建築 設備投資 システム構築等 |
工場建設に補助金を活用する際には、注意すべきポイントがあります。
まず、補助金は申請すれば必ず受け取れるものではなく、審査・採択される必要があります。事業内容の妥当性や成長性を示す事業計画書をしっかりと作成し、提出期限や様式といった定められた手続きを正確に行いましょう。また、補助金の交付は事業完了後になるため、資金繰りの見通しも含めて慎重に計画を立てましょう。
まとめ
今回は、工場を建てる際に知っておきたい情報を網羅的に紹介しました。工場建設は一見ハードルが高いように感じられますが、しっかりとした計画と信頼できるパートナーがいれば、スムーズに進められます。
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