2025.12.25
今月初旬から公開されていた2026年度の与党税制改正大綱が決定し、
26日の予算案と合わせて閣議決定する流れとなりました。
当初の2026年度税制改正案の骨子は⇒こちら
12/19税制改正大綱は⇒こちら
やはり注目されるのは「年収の壁」が178万円に引き上げられることでしょうか。
具体的には基礎控除と給与所得控除の最低額を合算した金額をさしますが
昨年決定している基礎控除額は、2025年度と2026年度の特例措置として
低所得層の年収200万円以下は95万円、475万円以下は88万円、665万円以下は
68万円とこれまでの一律48万円ではなくなっているので判り憎いですが
「103万円の壁」の根拠は「給与所得控除の下限 55万円+基礎控除48万円=
103万円」でした。要は年収が103万円までであれば所得税が課税されないと
いうものです。今回の改正案は178万円の他、中所得層の665万円以下まで広げています
⇒こちら
ただ、これは国税に当たる所得税だけの改正ですので、扶養配偶者の社会保険
への加入の義務は「130万円の壁」が改正されなければ手取額が減ってしまう事も
知っておく必要があります。
社会保険加入による手取額のシミュレーションは⇒こちら
勤務先の規模や従業員数によっても異なりますが、扶養配偶者の年収が130万円
以上になってしまえば、夫の扶養から外れてしまうので、社会保険の加入が義務
となり給料から差し引かれた手取は103万円より少なくなってしまいます。簡単な
シミュレーションからは、年収130万円~150万円の間が中途半端に不利な手取
額になるのです。厚生年金の加入による老後の公的年金は増えますが、それを
良しとせず、幼児の面倒を見る時間が減って手取も減ってしまうことをデメリットと
感じる方は、今回の178万円を意識しない方がいいのではないでしょうか。
所得税の改正をするのなら、厚労省の社会保険の基準も足並みを揃えて見直しを
しなければ、国民に分かり易い説明をするべきだと私は思います。現状はインフレ税
とやらで支出が増えている訳ですので、今以上に手残りが減ってしまえば多重
債務者が増々増えてしまいます。金融庁の調査では、今年3月現在で3件以上
の業者から借入をする多重債務者が147万人に急増しているとか。日経平均株価が
5万円台に乗るほど景気は安定しておらず、従業員の1/2の社会保険料も上乗せして
納付できない中小企業もあるようです。法改正をするのであれば、もっと国民の
現状を理解したうえで検討していただきたいものです。
今年最後のコラムとなりました。年末年始のお休みには 家族が顔を合わせる機会ですので、
皆さんで来年の資金計画を立ててみては如何でしょうか。少しでも不安を減らすことが
できれば何よりかと存知ます。どうぞ良いお年をお迎えください。
~市川のひとりごと、、、でした~
相続FP相談センター
1995年に長野県初の独立系FP会社を設立。日本FP協会認定教育機関として、FP養成講座を開講。現在は、専門家の協力を得ながら財産コンサルに伴う「もめない為の相続対策」を主に行っている。
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