2025.06.16
「工場立地法」を解説

「工場立地法」とは
工場立地法とは、工場立地において環境の保全を図るための法律で、製造業等が新しく工場等を設置する際に場合や増築をする場合は工場立地法の届出が必要となります。届出をせずに工場を建ててしまうと是正勧告や罰則規定もあります。届出を出していなかったなどの失敗をしない為に「工場立地法」を解説致します。ぜひ一読ください。
目的
工場立地法は、工場立地が環境の保全を図りつつ適正に行われるよう、工場立地に関する調査を実施し、工場立地に関する準則等を公表し、これらに基づく勧告・命令等を行うことで、国民経済の健全な発展と国民の福祉の向上に寄与することを目的とされています。つまり、工場立地法は工場立地によって環境汚染や地域の生活環境を損なうことを防止し適正に立地されて産業の成長を促すことであると言えます。
対象となる工場(特定工場)
業種…製造業、電気・ガス・熱供給業(水力、地熱、太陽光発電所は除く)
規模…敷地面積:9,000㎡(約2,700坪)以上または建築面積:3,000㎡(約910坪)以上
*建築面積とは建物全ての水平投影面積を対象。
*敷地面積とは道路等を挟んでいても一体的に使われていれば全体を対象とする。
千葉県商工労働部産業振興課 資料より
届出義務
生産施設面積や緑地整備状況について、工場が立地している市区町村に対し届出。
工事着手の90日前までに届出。(届出から90日間は着工不可)
※環境保全上適当と認められる場合は短縮申請が可能
国準則の内容
【生産施設】 物品の製造施設、加工修理施設等
敷地面積の30~65%以内 (業種によって30,40,45,50,55,60,65%のいずれかになる。)
【緑地面積】 植栽等
敷地面積の20%以上
【環境施設】 上記の緑地を含み、噴水や運動場等の施設
敷地面積の25%以上
経済産業省 工場立地法の概要より引用
緩和等規制(条例)
前項の国準則に代わる緩和等の規制がいくつかあります。下記の準則を参考に計画地の規制内容はどうか確認しましょう。
※基準は告示による
①「市区町村準則」(法第4条の2)
各自治体は、国が定める準則に代えて、地域の実情に応じ、準則を定める条例の制定が可能です。多くの自治体が緩和を目的とした条例を設けています。自治体ごと緩和内容が異なるので確認が必要です。
緑地面積 | 5%~30%以上 |
環境施設(含む緑地) | 10%~35%以上 |
②「地域未来投資促進法に基づく準則」(地域未来投資促進法第9条による特例)
緑地面積 | 1%~20%未満 以上 |
環境施設(含む緑地) | 1%~25%未満 以上 |
③「国際戦略総合特区に基づく準則」(総合特区法第23条による特例)
緑地面積 | 1%以上 |
環境施設(含む緑地) | 1%以上 |
④「震災復興特区に基づく準則」(東日本大震災復興特区法第28条による特例)
緑地面積 | 1%以上 |
環境施設(含む緑地) | 1%以上 |
⑤「国家戦略特区に基づく準則」(国家戦略総合特区法第20条の2による特例)
緑地面積 | 1%以上 |
環境施設(含む緑地) | 1%以上 |
駒ヶ根市の例
区域 |
|
緑地面積 | (国の準則100分の20以上から)100分の10以上 |
環境施設(含む緑地) | (国の準則100分の25以上から)100分の15以上 |
まとめ
これまで説明したように新しく特定工場を設置する際や既存の特定工場を増築する場合などは届出が必要となる場合があり、緑地等の敷地の確保も必要となります。近年、各自治体では緑地等の面積の規制緩和が積極的に進められています。工場のご計画の際は、設計事務所や自治体に届出の有無や規制内容を確認しましょう。ヤマウラでは、法チェックなどご計画のサポートが可能です。
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