2026.06.23
将来の災害に備える!税制優遇を活用したBCP対策
「中小企業防災・減災投資促進税制」16%の特別償却
先日の岩手県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生したように、近年では全国各地で地震や大型台風、局地的な豪雨といった自然災害が多発しています。企業にとって、こうした災害は一瞬にして操業停止や資産の損失を招く大きなリスクです。万が一に備えた「事業継続(BCP対策)」は、従業員の雇用を守り、顧客からの信頼を維持するための最重要課題といえます。
しかし、「防災対策が必要なのは分かっているが、コストがかかる……」と二の足を踏んでしまう方も多いのではないでしょうか。
そこでぜひ知っておきたいのが、国の支援策である「中小企業防災・減災投資促進税制」です。この税制を活用できれば、耐震装置や自家発電設備などの導入にかかる費用について、税制上の優遇措置(特別償却)を受けることができます。
本コラムでは、本制度のメリットや対象となる具体的な設備などについて、ご案内いたします。
「中小企業防災・減災投資促進税制」とは?
この制度は、中小企業が自然災害に備えて行う「事前対策(防災・減災投資)」を国が強力に後押しするための税制措置です。
国から「事業継続力強化計画(または連携事業継続力強化計画)」の認定を受けた中小企業が、計画に基づいて一定の防災・減災設備を取得・導入した場合に、前倒しして初年度に取得価額の16%を上乗せして計上(特別償却)できるという仕組みです。
事業継続力強化計画については、下記のサイトをご参照ください。
【独立行政法人 中小企業基盤整備機構:BCPはじめの一歩 事業継続力強化計画をつくろう!】
※認定を受けると対象補助金の審査で加点措置を受けられるメリットも! 改めてご案内いたします。
税制の対象となる設備と要件一覧
先述の通り本税制を受けるにあたり、国から「事業継続力強化計画」の認定を受ける必要があります。
認定を受け、下記の対象要件・設備に該当する中小企業者等が本税制を受けられることとなります。
対象要件
| 適用対象者 | 青色申告書を提出する中小企業者等で、認定対象機関に法第56条第1項又は第58条第1項の認定を受けた同法第2条第1項に規定する中小企業者。
令和9年3月31日までに「事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画」の認定を受けた中小企業者。 ※中小企業者等とは、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人など。 |
| 適用対象期間 | 事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画の認定を受けた日から同日以後1年を経過する日まで。 ※認定対象期間内に対象設備を取得又は製作若しくは建設し、事業の用に供することが必要。 |
対象設備
減価償却資産の種類ごとに細かく規定されています。自然災害の発生が活動に与える栄養の軽減に資する機能を有する減価償却資産のうち、以下のものが対象となります。
| 減価償却資産の種類(取得価額要件) | 対象となるものの用途または細目 |
| 機械及び装置(100万円以上) | 自家発電設備、浄水装置、揚水ポンプ、排水ポンプ、耐震・制震・免震装置 |
| 建物附属設備(60万円以上) | 自家発電設備、キュービクル式高圧受電設備、変圧器、配電設備、電力供給自動制御システム、照明設備、無停電電源装置、貯水タンク、浄水装置、排水ポンプ、揚水ポンプ、格納式避難設備、止水板、耐震・制震・免震装置、架台(対象設備をかさ上げするために取得する等をするものに限る)、防水シャッター |
| 器具及び備品(30万円以上) | 自然災害の発生が事業活動に与える影響の軽減に資する機能を有する全ての設備 |
※以下のいずれかに該当する設備は対象外となります。
①消防法及び建築基準法に基づき設置が義務付けられている設備
②中古品、所有権移転外リースにより貸付資産
③設備の取得等に充てるための国または地方公共団体の補助金等の交付を受けて取得等をする設備
さらに、「事業継続力強化計画」の認定を受ける前に取得した設備や事業の用に供したものについては、適用対象外となってしまいます。本制度の活用を検討される際は、取得時期を注意する必要があります。
注目すべき2つのメリット:耐震装置と自家発電設備
本税制の最大のポイントは、企業の事業継続に直結する「建物の安全(耐震)」と「エネルギーの確保(停電対策)」に関する主要設備がしっかりとカバーされている点です。特に注目すべき2つの設備について見ていきましょう。
① 工場や倉庫を守る「耐震・制震・免震装置」
大地震が発生した際、建物の倒壊はもちろん、工場内の製造ラインのズレや精密機械の転倒、倉庫の荷崩れなどは、復旧に膨大な時間とコストを要します。
本税制では、これらのリスクを最小限に抑えるための耐震・制震・免震装置が対象設備として認められています。具体的には、「耐震ラック」や「耐震フロア」、「天井クレーンの耐震装置」などの導入になります。
具体的な対象例は下記の資料(P8~10)をご参照ください。
② 操業停止リスクを回避する「自家発電設備・無停電電源装置(UPS)」
台風や豪雨による長時間の停電は、サプライチェーンのストップや、製造途中の製品の廃棄処分など、甚大な実害をもたらします。また、サーバーや基幹システムの突然のシャットダウンによるデータ破損リスクも無視できません。
そこで不可欠となるのが、自家発電設備(太陽光パネルや蓄電池は除く)や無停電電源装置(UPS)です。これらを導入しておくことで、万が一の停電時にも、オフィスの安全確保、重要データの保護、さらには最低限必要な製造ラインの稼働を維持できるようになります。
本税制を活用すれば、こうした高額になりがちなエネルギーセキュリティ対策の初期コスト負担を大きく軽減できます。
まとめ
自然災害は「いつ、どこで起きるか」を予測することは困難ですが、「起きたときにどうなるか」を想定し、先手を打つことは可能です。大切な従業員を守り、取引先からの信頼を確固たるものにするために。そして、税制優遇という選択肢も検討されてはいかがでしょうか。本税制の内容をご確認いただき、適用について顧問税理士など関係専門家へご相談いただければと思います。
工場や倉庫に掛かるBCP対策の強化をご検討の際は、ぜひ一度ヤマウラまでお気軽にご相談ください。
本税制について、詳しく知りたい方は下記を参照ください。

















